インプットとアウトプットの考え方
学校の英語の勉強では話せるようにならない。話せるようになりたいから、映画や音楽をたくさん聴くことにしてるというタイプの人がよくいます。
たしかに英語を耳から覚えることは非常に効果的で、音楽や映画のセリフをそのまま音まねすると、確実に発音はよくなります。リスニング力も高まります。耳から聞いた短文や単語を連ねれば、会話もできると思います。
ただ、それだけで「英語が使える」ようになるわけではないと私は思います。英語を使うということは、英語の4技能(読む、書く、聞く、話す)のどの技能も、まんべんなくできるということです。「話せるけど読めない」や、「読めるけど話せない」では、事実上、英語は使えないのです。
英語の勉強にはインプット(読む、聞く)とアウトプット(書く、話す)があります。
インプットではできるだけ多くの英語に触れ、読んでわかる、聞いてわかる範囲を可能な限り拡大しなければなりません。実際に英語を使うときは、相手が何を言ってくるか事前にわかるわけではないので、網をできるだけ広げて、わかる範囲を可能な限り拡大しなければならないのです。相手の言っていることが分からなければ、自分も話せませんし、例えばメールの内容がわからなければ、こわくて返事も書けません。映画のセリフや歌の歌詞だけにたよった勉強方法では、網を広げることができないのです。
それに対して、アウトプットはいわば「選択」。あえて言えば「捨てる」プロセス。たくさん覚えた表現の中から、どこの国の人が聞いたとしも、誤解なく理解してもらえる、シンプルで簡単、自分も素早く言える、あるいは手短に書ける表現を選択するのです。難しい表現や、複雑な構文は避けた方がよいのです。ここでよくある誤解は、賢く思ってもらいたいのか、やたら難しい単語や複雑な構文を使いたがる人たちがいます。難しいのが良い英語ではありません。シンプルな英語が良い英語なのです。
大学入試でもスピーキング、ライティングの力が試されるようになります。アウトプットがますます重要になっていきます。従来のような文法問題と英文解釈に偏った学習方法では、太刀打ちできなくなるでしょう。でもだからといって、インプットの重要性が薄れたわけでは決してありません。
両方とも大事なのです。
ただ、インプットとアウトプットでは、学習方針が異なるのです。「網を広げるインプット」と「選択するアウトプット」。学習方針の違いを、しっかり見据えた指導が非常に大切なのです。