訳にこだわらないで
中学生を指導していて時々困るがのが、中学校の英語の先生の採点。実を言うと、首をかしげたくなるような採点をする先生もいまだにいらっしゃるようです。先日の中学1年生の英語のテストで次のような和訳問題がありました。I'm staying at my aunt's house. で、うちの中1生徒の解答は「わたしはおばの家にいます」。あっています。でも見事にバツ。その先生によれば「私はおばの家に滞在しています」じゃないと正解ではないらしいのです。
こんなとき、私は本当に「あ〜。困ったなぁ」と思います。和訳にこだわる必要はまったくありませんが、あえて和訳するなら stay は「滞在する」よりむしろ「いる」の方があっています。「そこにいなさい」はStay there. 「なんでそんなに若くいられるの?」は、How can you stay so young? 「滞在する」などと覚えてしまっては、stay という英単語を使いこなすことができなくなってしまいます。
形としての進行形の理解を問いたければ、別の出題方法をとるべきでしょう。
英語の勉強にはコツがあります。
文法とスペルは、きっちり理解し覚えます。「まー、こんなもんだろ」は通用しません。
それに対し、「意味」は大きく、ざっくり理解するのがいいのです。文意を大きく理解するのです。訳は理解した上で、自分の日本語で表現すればいいのです。訳語にこだわるのはまったく無意味です。訳語にこだわる学習方法は、読解であろうがリスニングであろうが、スピーキングであろうが、役に立たないどころか、弊害の方が大きいのです。
高校以降の英語も実社会での英語によるコミュニケーションでも、意味を大きく理解する能力が試されます。英語は英語としてさっさと処理していかなければ速読もリスニングもまったく歯がたたなくなってしまうのです。
バツをもらってしまった中1生徒には、解答が間違っていないことと、このくらいの点数にこだわらなくてもよいことを伝えました。それでも中学生にとって定期テストの1点、2点は大事なのです。こんなどうでもよいところでバツをつけておいて、どうして英語で積極的に発言することができるようになるんでしょうか?教える側の英語力に首をかしげたくなるばかりでなく、生徒に与えるメンタル面での影響からも、本当にこのような採点はやめてもらいたいと思います。