発音記号

私の生徒さんの中に、さいたま市の進学校に通われている生徒さんがいます。この生徒さんは、小学生のとき私のところに通ってきてくれてたのですが、中学受験でいったんお休みしてから、「英語は田角先生に」と中学入学後に戻ってきてくれました。実にうれしいことです。

まず第一回目のレッスンの印象は、「あーよかった、発音忘れてない!」でした。まずはほっと一安心。ノートを見せてもらうと、単語と発音記号がぎっしり書いてありました。

一般的に発音記号は公立中学ではほとんど教えられません。私の知る限り、まったく触れられていないのではないでしょうか。たしか神戸の有名男子進学校で書かせていたと聞いたことがありますが、それ以外は知りません。

で、私はこの宿題についてどう思うかというと、実際、えらく時間かかっただろうなと思いました。英語には日本人には同じように聞こえる音があり、それらを区別させたいというのが主旨だとは思います。区別すべきは「ア」に似た3音。「オー」と「オゥ」の二重母音、She とC(まったく別音)、g  と z、l とr などです。こらのポイントをしっかり意識した上で、発音記号をノートに写すのはきっと効果もあるでしょうが、音をまったく意識せずに写したとしたら、時間ばかりがかかった割に効果のうすい、単純作業で終わってしまいかねません。

よく勉強させることで有名な学校らしく、入学する生徒もみな生真面目な生徒が多いことと思います。ここで気をつけなければならないのは、あまりの膨大な宿題量のために、英語の勉強がノートづくりなどの「作業」になってしまい、ノートは3冊も4冊もあるのに、肝心なことが頭に残っていないというようなことが絶対にないようにしなければなりません。

作業ばかりに没頭して、「木を見て森を見ず」にならないよう、大所高所から大きく、大きく、英語の勉強を支援していくことが、このタイプの学校に通う生徒さんに対する私の仕事だと思っています。語彙はコツコツ覚えなければなりませんが、文法も発音も、英語の勉強の真実は、実は、本当にシンプル極まりないものなのです。