受験英語と実用英語
私は常々、受験英語と実用英語は別々に存在しているのではなく、実用に耐えうる英語の習得を目指せば、受験英語も必ずできますと、生徒にも保護者の方にも申し上げてきました。英語そのものを勉強し骨太の実力をつけいれば、ある時期、試験対策をすれば、受験には十分対応できるからです。
まずは、英語そのものの実力を高めましょう、正しく発音しましょう。音読しましょう。テキストの文を書き出しましょう。また音読しましょう。CDを何度も聞きましょう。語彙はスペルと発音と意味の3セットで覚えましょう。英文は聞いて分からなければならないもの。後ろから聞くことなどできないのだから、英文を後ろから訳したりしないように、頭から理解しましょう、と何度何度も言ってきて、そのように指導してきたつもりです。
で、この本。著者は超有名な塾の先生なのですが、序文にこのように書かれていました。以下に抜粋します。
「どのような試験でも、点をとるための最大のコツは「出題者の意向に即した学習」をすることです。ですから、みなさんも出題者がセンター試験を通じて訴えている「使える英語を勉強しなさい」というメッセージの通りに勉強すればよいわけです。」
「すべての英語学習において、「わかった」「覚えた」で満足してはだめです。英文を何度も暗唱してしまうほどに音読し、正しい英文が口からスルリと出てくるようになるまで訓練をしてください。また、長文は声に出して読みながら、左から右にスラスラと意味が分かるようにしてしまうことが大切です。この音読訓練を英語学習の中心に据えることが得点アップのカギです。」
やはり、やはり。私自身は、中高時代に当たり前に音読を勉強に取り入れていたので、卒業後に英語を話す機会が出てきたとき、発音、イントネーションであまり苦労しなかったことで、音読学習の有難さを痛感しました。
この先生は、センター試験が「使える英語力」試す試験だから、実用英語を身に着けるよう勉強しなさいと言われています。私は今まで「実用英語の習得を目指して勉強すれば、受験英語もできる」と考えてきました。おそらくこの、「使える英語力」を試す傾向は、今後、広がっていくと思われます。ということは、英語を普通にあたり前に、勉強していくことがますます大切になっていくということです。昔ながらの書き換え問題などは、どんどん姿を消していくでしょう。本当に英語力のある人しか、英語を教えられない日が遠からず来ると思います。消費税が上がったり、高齢化だとか、少子化だとか、外交もよくないとか、暗いニュースばかりですけれど、この点だけは明るい未来が見えてきたと、私は一人で喜んでいるのです。