ハッとする瞬間

もう英語を勉強して何十年にもなるのに、それでも、ネイティブスピーカーと話していると、「そうだったのか」とか「なるほど」とか「やはり」とか、ハッとする瞬間があります。

先日、アメリカ人の友人と、浅草から水上バスに乗ったときのこと。友人が向こうを指さし、あれは「Yurikamome」かと尋ねました。私は一瞬、英語発音の「ゆりかもめ」 が聞き取れず、「?」と思ってしまい、友人が指さした方向に走っていただろう、ゆりかもめを見逃してしまいました。そこで友人が言ったは、"Oh, you missed the train."

miss the train と聞けば「電車に乗り遅れる」しか頭に浮かばないのが、私たち日本人なのですが、この場合にはまったく当てはまりません。私たちは電車に乗ろうとしていたわけではまったくないのですから。

miss は「逃す」。乗り遅れること、見逃すことも、おり損ねることも、出損ねることも全部 miss。友人は私に「電車見逃しちゃったね」と言ったのです。同じ様に、Sorry I missed your call. といえば「ごめん、電話に出られなくて」になります。場面や背景があれば、こういうことも簡単に学べるのでしょうが、教科書頼りの日本人の学生がこれらのことを学ぶにはどうすればいいのでしょうか?

残念ながら、答えはありません。ただ一つ言えることは、教科書を大切に勉強し、文法の基礎をしっかり学び、CDを聞き音読練習を行い、発音やイントネーションを身に着け語彙を増やしていくという、ごく当たり前の勉強を繰り返していけば、日本にいても、ネイティブスピーカーと話す機会が知らず知らずのうちにやってくるものなのです。そこで初めて「へー、そうだったのか」と思ったり、「ふーん」と思ったりしても遅くはないと思います。ただし、ある程度の英語力がなければ、「へー」とも「ふーん」とも全く感じられないのです。

やはり普通の日本人の学生にとっては、中高時代に英語のしっかりとした土台を作ることが、何よりも大切なのです。